能登の西部に位置する志賀町(しかまち)は、能登半島地震の震源地だっため揺れが激しく、石川県内での最大震度7を記録した。
「他地域で見られた大きな地割れや津波はなかったものの、町内にあった自宅は全壊し、すでに更地になっています。すごく被害があるところと、そうでないところが町内には見られました」と語る寺岡専務。能登牛を中心とする食品事業を営む寺岡畜産は奇跡的に会社や工場への致命的な被害がなく、なんとか仕事ができたものの、被災した人たちは現在も本当に厳しい状態を強いられているとのこと。
事業企画部の中家さんいわく「断水で工場は稼働できず、レストランも営業ができませんでした。復旧したのは2月も中旬で、それまでは配給される水のみの利用で大変でした」水道の復旧までは精肉加工ができなかったそうだが、通販用のストックが多かったレトルト商品は出荷が可能と聞き、日本きらりも通販サイトをとおして協力することができた。経営する牧場の牛も、近所の方からの厚意で井戸水を分けてもらい、難を逃れた。その後、レストランの営業を開始するも、観光で訪れる人の数は少ないため、精肉の卸や通販での販売が命の綱となっている。
「それでも必ず復興するという熱い思いがあります。いまできることのひとつとして、能登の企業とのコラボ企画など、新たな自社商品を開発しています」と寺岡専務は前を向く。運営している牧場ではこれまで能登牛を育ててきたが、さらに新たな試みとして、餌や肥育方法にこだわった能登牛として、自らの名前を冠した自社ブランド牛〝寺岡牛〞を育てていくプロジェクトを進めている。ブランド力を上げていくことは、地域に魅力や活力が出てくること。寺岡畜産の試みは災害に立ち向かう象徴とも言えるだろう。
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2025年2月更新

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志賀町から復興に向け前進!
寺岡畜産の現在とこれから

石川県羽咋郡
寺岡畜産

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1寺岡専務(右)と事業企画部の中家さん
22023年に完成した肉の加工工場は奇跡的に地震の被害がなく、断水解除後から稼働できた
3当時は壁が剥がれるなどの被害を受けたレストラン棟。3か月をかけて修復し、元気に営業中
4自慢の能登牛を独自製法でじっくり煮込んだしぐれ煮。しょう油味とみそ味の2種類が楽しめます